スウェーデンに行くことになった理由

スウェーデンでのドキュメント・ライブ映像が公開されました。
今回僕が突然スウェーデンでライブが出来ることになったいきさつを
origami対馬さんが書いてくれているのでこちらもぜひ読んで頂きたいです。
人の繋がりによって日本から北欧の街へと運んでもらえたことに改めて感謝です。
POPGROUPの坂井田さん、本当にありがとうございました!

「POPGROUPの代表 ヒロキ君(坂井田裕紀)との交流が始まったのはかれこれ1年半前だろうか。
DJ BAKUを筆頭にシーンを揺るがすアーティストを多数抱え、
1万5千人を集めるフェスKAIKOOを仕掛けている人物。それは以前から知っていた。
実際に会ってみると同じ思いで仕事している事を実感し、
気が付けば密に連絡を取るようになっていた。
音楽シーンが抱える諸々の問題は周知の事実。
「新たなシステムの幕開けだ」というポジティブな声も聞こえてくるのだが
「じゃあその新たなシステムって何?」と言われると明確な答えは誰も分からない・・・。
そんな過渡期に我々は出会い、今後について共に考えた。結果、答えはすぐそばにあった。
「劇的に変える新たなシステム」に目を向けてしまいがちだが、
根本的な事が抜けていたのだと気がついた。
それは本当に「音楽の力」を信じているかどうか?という事。
震災の時、我々は微動だに出来なかった。
こんな時に音楽はいらない?電気を使うライブはNG?色々な思いがあった。
医者が命を救い、食品業界が飢餓を救う中、我々に出来る事なんてない、と痛感した。
しかし最終的に考えた事は、自分は音楽が好きだという事。
クラブやフェスで大勢で大合唱したり、同じアーティストが好きだという事で仲良くなれる、
それが音楽の力だ。
しかしアーティストが「UNITY!ONE LOVE!」と叫ぶ中で、
それを扱う業界は牽制しあい、出し抜く。もちろん切磋琢磨する事は時には大事。
それがビジネスだし、どんな業界も同じだろう。
でも皿に1人分の食べ物もない時にそれを奪い合っても勝者さえも満たされない。
震災の時に奪い合いもおきずUNITY出来た日本人の気質は世界に誇れるものだ。
ビーフや戦いは我々には似合わない。
世界で戦うにはメンタルが弱いと言われるが、それを気にする事の方が弱さなのでは?と思う。
この日本人特有の「思いやり精神」にもっと誇りを持ち堂々と実践したらいいと思う。
会社という枠組みになると、とたんに規律や守秘義務が重んじられてしまうのはとても残念な事だ。
足りない時は奪い合うのではなく持ち物を全て場に出してみる。
勇気を持ってそれが出来るかどうか、今はそれが試されているんだと思う。
音楽から学んだ「UNITYの法則」を携わる我々が実践出来ないなら、
音楽にはその力がなかったという事。それなら音楽なんて世の中に必要ない。
自分のレーベル、ブランディングの前に大事なのはアーティストであり、音楽。
それがなくなってしまったら元も子もない。
だから我々はまず情報を開示した。
そしてそれぞれの意地、プライド、ブランド、全てを捨て、いち人間、
いち音楽ファンとしてお互いを助け合う事にした。
ヒロキ君がやっていたKAIKOOというフェスは沢山の音楽ファンに音楽の楽しみ方を提案してきたが、
彼も限界を感じ、現状は停止している。
すごく疲れていた。きっと失敗や過ちも多々あるのだと思う。
これだけ大きな事に挑戦したら当然だ。
しかし何かに命がけで挑戦した彼のその心意気をもっと讃え、認め、助ける事が出来なければ、
ビジネス面だけで人付き合いを辞めてしまったら、音楽を扱う仕事を選ばなくてもいいんじゃないか。個人レベル、会社レベルで面白い企画は沢山あると思うがUNITYしないから実現しないものも沢山ある。
例えばヨーロッパに強いレーベル、アジアに強いレーベル、オーストラリア、ロシア、
それぞれのコネクションを開示すれば日本のアーティストだって世界ツアーが出来る。
業界の微妙な牽制の中で、一番の被害者は何を隠そうアーティストだ。
これだけ大きな日本の音楽産業をもってすれば世界をリード出来るような大きな事は簡単に出来る。
誰が偉い、誰が上ではなくフラットに1つなる事、ただそれだけで解決する事は沢山ある。
もう察しが付くと思うが、関口シンゴのスウェーデンツアーはヒロキ君がブッキングした。
KAIKOOに興味を持ちコンタクトしてきたスウェーデンのイベンターが「日本のアーティストを呼びたい」という事で、ヒロキ君は自社アーティストではなくうちのアーティストにチャンスをくれた。
そう簡単に出来る事ではないと思う。
自分にとっての大仕事、チャンスをいとも簡単に他人に譲ったのだ。
世の中や周りの人間に嘆くよりも、鏡に写る自分から変わっていかなければ世の中は変わらない。
小学生の頃、大好きだったマイケルがそう歌っていた。
日本の音楽、カルチャーを、そういうマインドも含め世界に広げていければと考えている。
この輪を大きくしていく事が音楽の意義そのものだと信じている。」

対馬 芳昭